私は緩やかな起伏のある小道を進んでゆくと庭にたどり着いた。そこは蔦やローレル、オリーブ、南洋杉の木々に覆われていました。石畳の階段を登り、私が仕事場をこしらえた「冬の庭」に入りました。「冬の庭」は午後の最後の陽光を捉えていました。ここは、あの大きな冷たい古民家の中で音楽を作るのに一番良い場所でした。そこには、僅かな楽器のコレクションが置いてある小さなテーブルがありました。私が録音している時には、窓から木や植物の変化を通して、季節が過ぎてゆくのを見ることが出来ました。夜には、秋の風が木の角材を通り鳴いていました。時に「冬の庭」は、雨空の日とかには灰色へと変わります。またある日は、夕焼け時の黄金に輝く光が全ての物に命や色を吹き込んでいました。
このアルバムには、古い山の家の魂が入っています。それは「冬の庭」の各楽曲は一度のテイクで録音され、後に編集やミックスも行うことなく、その瞬間を捉えているからです。それは最小限の音のパレットで制作した、まるで雪の結晶のような大きさの小さなメロディーです。