私が、このプロジェクトを開始する時に2つの別なアルバムを作りたかったのです。一つは、スモーキ−なジャズのフィーリングがあるビートを強調したアルバム。2つ目は質感に焦点をあてたピアノやパッドを使ったもの。同時期にこのような音楽をたくさんギャラリー、アートイベント、ミュージアムで演奏していたのですが、両方のアルバムからの要素を重ね合わせていました。その感じをとても気に入り、一つのアルバムに統合できるのではと思ったのです。
私は全てのトラックでなるべく同じ制作方法をとるようにしました。ほとんどはコンピューターで作られ、いくつかのビートは古いアナログ・サンプラーで作りました。生の素材をエディットし、 コンピュ−ター内でアレンジしています。
すべての楽曲は、 ミス、不完全なもの、flaw(欠陥)に関するものです。私が思うに、もし正しく向き合うことができたらミスや欠陥は美しいものになります。例えばシグナルを発し続ける壊れたCRTモニターのように。また、私は日々の暮らしからインスピレーションを受けています:夜の散歩、機械が作動している音、夜のオフィス空間。
このアルバムを作っている最中に、このアルバムで作業していた全てのデータを紛失してしまいました。私は自分のやった仕事のバックアップをとることがないのです。唯一、ラッキーだったのは スタジオのどこかで拾った、このいくつかの素材が収録されたDVDで、それはたまたま新しいDVD焼き機をテストするために焼いたものでした。